+Why do you like it?+

冷たい風が吹く季節。
人通りの少ない道をkenちゃんとふたりだけで歩く。

「さーむーいー」

「hydeさっきからそればっか」

「だってめっちゃ寒いもん」

…こんなにさむいとは思わなくて、おれはうすめのコートしか羽織っていない。
下に着込んでる服も風通しが良い生地。
おれがこんな寒い格好してんのに、kenちゃんはなんかあったかそうなコートを着てて。

ズルイなぁ、寒いってわかってたんならゆってくれてもええのにな。

そう思って、少し恨めしそうにkenちゃんを見詰める。
すると。
kenちゃんはくすくす笑いながら

「そんな眼で見ないでやぁ」

そういって、自分が着ていたコートをおれに被せた。
着せる、でも羽織らせる、でもなく、被せる。

確かにあったかい、けど。
いくら下に着てる服も暖かそうだとはいえ、上着を着なきゃ寒いに決まってる。

「kenちゃん、いい。おれ平気やし」

そういってコートを返そうとすると。

「アホ。ボーカリストは風邪なんてひいたらあかんのやで?」

そして、にっこり。
おれは何もいえなくなって俯く。
すると。

「…じゃ、コレでどう?」

声が発せられるのと同時に、kenちゃんはおれの右肩にかかっていたコートのはしをひっぱって自分の右肩にかける。

「…人に見られたら、どうすんの」

「人なんて居らんから安心し?」

「万が一に」

「ありえへんからだいじょーぶ」

「………」

あったかい、な。
恥ずかしいけど。
ほんとうに、誰も居らんのかな。
誰も通ったりせぇへんかな。

色々考えながら、しばらくふたりとも黙ったままで歩いてた。
そしたら、kenちゃんが口を開いた。

「hyde?」

急のことでビックリして間抜けな声が出る。

「え、あ、何?」

「hyde、冬って嫌い?」

「…何急に? 好きやけど…」

「じゃあ、何で好きなん?」

思いがけない質問に焦る。
そんな。
何でと申されましても。
好きなんやもん。
あかんの? それじゃ。

「…わからへん。kenちゃんは、冬、好きなん?」

「うん、好き」

「じゃ、何で好きか言える?」

「勿論」

「…じゃ、何で好きなん?」

その質問をすると、kenちゃんはにやりと笑ってゆった。

「こうやって、寒いのを口実にhydeとイチャつけるから」

またしても思いがけない発言。


…アホ。


あかん。めっちゃ嬉しい。

「な、hydeは? 何で冬が好きなん?」

そう訊かれて、俺は。
耳を澄まさなきゃ聞こえないような声でつぶやいた。

「…kenちゃんとおんなじ理由デス」




■end■





えぇと、最近寒いものですから。
こんな甘ったるいふたりがあったまるようなお話を書きたくて。

そしたらこんなことになりました。
うーーーん…。。個人的にはなんともいえません。
とりあえず…無駄に甘ったるい気はします。
どうなんでしょう???

2005.11.16...

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